みなし残業の設定時間を超えたら追加の残業代は請求できるのか

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毎月の給与に固定残業代が含まれていると、どれだけ働いても残業代は変わらないと思い込んでいる方は少なくありません。

しかし、みなし残業の設定時間を超えて働いた分には、別途残業代が発生します。

この記事では、みなし残業の仕組みと、超過分の残業代を請求するために押さえておきたいポイントについて解説します。

みなし残業とはどのような制度か

みなし残業とは、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含めて支払う制度です。

固定残業代制と呼ばれています。

たとえば月30時間分の固定残業代として5万円を支給すると定められている場合、月の残業が30時間以内であれば、5万円が残業代として扱われます。

ここで注意したいのは、設定された時間を超えて残業した場合の扱いです。

30時間分の固定残業代が支払われていても、実際に40時間働いた月には超過分が生じます。

超過した10時間分を無視してよいわけではありません。

設定された時間を超えて残業を行った場合、固定残業代とは別に超過分が給与へ反映されます。

これは労働基準法37条に基づく割増賃金の支払義務であり、固定残業代制を採用していても免除されるものではありません。

固定残業代が有効とされるための条件

固定残業代制がそもそも有効に機能するためには、一定の条件を満たす必要があります。

基本給と固定残業代明確に分けることができること

給与の総額のうち、基本給がいくらで固定残業代がいくらなのか明確に分けることができる必要があります

雇用契約書や就業規則、給与明細のいずれにも区分が示されていない場合、固定残業代の定め自体が無効と判断される可能性があります。

裁判例において、通常の賃金部分と割増賃金部分が判別できることが、固定残業代の有効性を判断するうえで重視されています。

何時間分の残業代に相当するかが明示されていること

固定残業代5万円とだけ記載されていても、それが何時間分に相当するのかがわからなければ、超過しているかどうかを判断できません。

金額だけでなく、時間数が示されていることが求められます。

超過分の差額が支払われていること

設定時間を超えた残業が発生した場合に、その差額を適切に精算していることも必要と解されるでしょう

超過分を一切支払わない運用がされていると、制度自体の有効性が否定される可能性があります。

超過分の残業代の計算方法

実際の残業時間が固定残業代の設定時間を超えた場合、超過分は法定の割増率で計算されます。

通常の時間外労働には25%以上の割増率が適用されます。

60時間を超える部分については50%以上です。

深夜の時間帯に残業した場合はさらに25%が加算されます。

休日に労働した場合は35%以上の割増率となります。

計算の基礎となるのは、固定残業代を除いた基本給です。

基本給を所定労働時間で割った金額が、正しい計算の出発点になります。

実際の数字で確認してみます。

基本給が20万円、所定労働時間が月160時間の場合、1時間あたりの単価は1250円です。

この場合、通常の時間外労働1時間あたりの残業代は約1563円になります。

固定残業代の設定時間を10時間超過していれば、15630円が追加で支払われるべき金額と算出されます

請求にあたって準備しておきたいもの

超過分の残業代を請求するには、実際に何時間残業したのかを示す資料が重要になります。まずは手元の記録を整理することから始めましょう。

  • タイムカードや勤怠管理システムの記録
  • パソコンのログイン・ログアウト履歴
  • 業務メールの送受信記録
  • 雇用契約書や就業規則の該当部分
  • 給与明細

会社がタイムカードの写しを渡してくれない場合、自分でメモをつけておくことが重要となります

業務の開始時刻と終了時刻を毎日記録しておくことにより、後から労働時間を立証しようとする際の手がかりになります。

なお、残業代の請求権には時効があります。

残業代の時効は支払日から3年です。時効期間を経過すると、会社が時効を援用し、請求できなくなる可能性があるので注意が必要です。

まとめ

みなし残業の設定時間を超えた残業には、別途残業代が発生します。

固定残業代制を理由に超過分が支払われないのは、法律上認められない取り扱いです。

雇用契約の内容や実際の労働時間によって、請求できる金額や進め方は変わります。

判断に迷う場合は、労働問題に詳しい弁護士への相談をご検討ください。

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  • ・早稲田大学法科大学院修了
  • ・2013年 弁護士登録(登録番号 47966)
  • ・2019年 池袋副都心法律事務所開設
弁護士 関根 翔
メディア掲載
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  • 治療院に向けた交通事故セミナー 2017年2月
  • 治療院に向けた交通事故セミナー 2017年11月
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