夫婦の同居義務とは?扶助・協力義務についても解説
婚姻届を提出した法律上の夫婦には、民法によっていくつかの義務が課されています。
夫婦の義務を一方的に放棄してしまうと、離婚原因が認められたり、慰謝料が発生したりする場合があります。
相手が夫婦の義務を全く果たさない場合は、法的な対策を講じることも可能です。
今回は、夫婦間における義務と、夫婦の義務を一方的に放棄された場合の対処法について解説します。
夫婦の同居義務
夫婦の同居義務とは、夫婦は原則として同じ家で寝食を共にし、共同生活を営まなければならないという義務です。
そのため、夫婦の一方が、正当な理由がないにもかかわらず、相手の同意を得ずに無断で別居を開始する行為は、同居義務違反と評価される可能性があります。
悪意にでた同居義務の不履行は、悪意の遺棄(民法に規定されている法定離婚事由のひとつ)と評価される可能性があります。
悪意の遺棄と評価された場合、離婚原因が認められたり、慰謝料が発生したりする可能性があります。
相手の配偶者が同居に応じてくれない場合は、裁判所に対して同居を求める調停を申し立てることが可能です。もっとも、法律によっても、相手の配偶者に同居を強制することはできません。
夫婦の扶助義務
夫婦の扶助義務とは、お互いの経済力や生活水準を同等のものにするために、経済的に支え合わなければならないという義務です。
夫婦が資産や収入に応じて分担して支払うことが義務付けられている費用として、以下が挙げられます。
- 住居費用
- 日々の食費や水道光熱費
- 子どもの教育費や医療費
- 衣服の購入費や日常的な交際費
夫婦が共同生活を送る上で発生する上記の費用は、婚姻費用と呼ばれます。
夫婦関係が悪く別居している状態であっても、法的な婚姻関係が継続している限り扶助義務を果たす必要があります。
そのため、別居中の配偶者に婚姻費用の支払いを拒否された場合でも、家庭裁判所に対して婚姻費用分担請求の調停を申し立てることが可能です。
夫婦の協力義務
夫婦の協力義務とは、共同生活を円満に維持・発展させるために、互いに力を合わせなければならないという義務です。
扶助義務が経済的なサポートを指すのに対し、協力義務は日常生活における役割分担などを対象としています。
一時共同生活の分担ができなかったからといって直ちに協力義務違反と評価されるものではありませんが、今までの夫婦共同生活全般に渡って一方の非協力により他方にのみ過大な負担が生じ、それにより婚姻生活の維持が困難となっているような場合には、協力義務違反として、離婚原因が認められる可能性があります。
夫婦の義務を放棄された場合の対処法
夫婦の義務を一方的に放棄され婚姻関係の維持に支障が生じているような場合、次の対処が考えられます。
夫婦間で話し合いを行う
相手方が夫婦の義務を果たさないことにお困りの場合、可能であれば、まずは話し合いによる解決を試みましょう。
話し合いを行っても解決に至らなかった場合、法的な解決が可能となるように、証拠を保全しておく必要があります。
以下のようなデータを保存しておくと良いでしょう。
- 相手方が無断で家に帰ってこなくなった日を記録したメモや、その前後のメール等文書のやり取り
- 生活費が振り込まれていないことを示す預金通帳
- 生活費は払わないという内容のメール等の履歴
- 家事や育児への協力を求めたのに対し、拒絶された内容のメール等の履歴
弁護士へ相談して法的な手続きを進める
夫婦間での話し合いによる解決が難しい場合には、弁護士への相談をご検討ください。
弁護士は、依頼人の抱えている問題を法的に解決するため、相手との交渉を行ったり法的な手続きを進めたりすることが可能です。
具体的には、婚姻費用の支払いを拒否されている場合には婚姻費用分担請求、一方的に別居された相手と再度同居して関係の修復を望まれる場合には同居・夫婦関係調整調停の申立てなどが検討されます。
離婚を考えられている場合には、離婚調停の申立て、調停が不成立になった場合の訴訟提起が検討されます。
弁護士に相談することにより、依頼人の抱える問題を法的に解決するための適切な方針を検討してもらえるでしょう。
まとめ
今回は、夫婦間における義務や、相手に夫婦の義務を放棄された場合の対処法について解説しました。
民法において夫婦間に定められた同居・扶助・協力の義務は、円満な婚姻生活を送るために守るべき大切なルールです。
正当な理由なく一方的に夫婦の義務を放棄した場合には、法定離婚事由や慰謝料請求が認められる可能性があります。
相手が夫婦の義務に違反していることを理由に離婚や慰謝料の請求をお考えの方は、弁護士への相談をご検討ください。
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- ・2019年 池袋副都心法律事務所開設

- メディア掲載
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- 「ビジネスロー・ジャーナル」 2015年9月
- 「会社法務」 2019年12月
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