裁判離婚に至るまでの流れや解決までの期間について
離婚協議や離婚調停では離婚が成立しなかった場合に、次に取り得る手段として「裁判離婚」があります。
裁判離婚では、法律上離婚事由が求められ、離婚事由を認めてもらうために様々な事情を説明したり証明する必要があります。
本記事では、裁判離婚に至るまでの流れや具体的な争点、かかる期間などについて解説いたします。
裁判離婚とは?
離婚に至るための手続きとして、離婚協議、離婚調停、裁判離婚がありますが、「裁判離婚」とは、夫婦間で話し合いがまとまらず、調停を経てもなお解決に至らない場合に、家庭裁判所へ訴訟を提起することにより離婚を求める方法を指します。
日本の法律では、離婚訴訟を提起する前に離婚調停を経る必要がありますが、離婚調停が不成立の場合、裁判所に離婚訴訟を提起して裁判官に判断してもらうことができます。
裁判離婚では、法律上離婚事由が求められ、様々な事情を説明したり証明する必要があります。
裁判離婚に至るまでの流れ
離婚訴訟を提起するためには、離婚協議と離婚調停を経る必要があります。
離婚協議では、夫婦の話し合いによる離婚成立を目指します。
離婚協議では夫婦間で合意が成立しない場合、家庭裁判所における調停委員会を交えて話し合いを試みる離婚調停の申し立てを検討します。
調停が成立すれば離婚が成立しますが、不成立となった場合は、離婚訴訟の提起を検討することになります。
離婚事由を記載した訴状を家庭裁判所に提出し、裁判が開始されます。
これらの手続きには一定の時間と準備が必要となります。
裁判離婚には離婚事由が必要
協議や調停で離婚する場合と異なり、裁判で離婚が認められるためには、単に「性格が合わない」といった理由を主張するだけでは足りません。
民法では、裁判上の離婚原因として以下の事由を定めています。
■相手の不貞行為がある
不貞行為とは、配偶者以外の者と性的関係を持つことです。
■悪意の遺棄
夫婦関係の破綻を意図して同居・協力・扶助などの夫婦の義務を怠ることを意味します。生活費を渡さない、家から出て行くなどの行為が該当し得ます。
■配偶者の生死が3年以上不明
■回復の見込みがない強度の精神病により婚姻を継続しがたい
※2024年法改正により削除されており、2026年5月までに施行されます。
■その他婚姻を継続し難い重大な事由がある
裁判離婚では、いずれの理由においても、それを裏付ける証拠が必要とされます。
裁判離婚で争われる内容
裁判離婚で争点となるのは、離婚そのものの可否だけではありません。
具体的には、次の点が主要な争点となり得ます。
- 離婚が認められるか否か
- 財産分与の内容
- 慰謝料を支払うべきかどうか、支払う場合の金額はいくらか
- 親権者の決定
- 養育費の負担の内容
- 親子の面会や交流について
子どもがいる場合、上記の「親権者の決定※」と「養育費の負担の内容」が大きな争点になり得ます。
※2026年5月までに選択的共同親権に関する制度が施行されます。
また、配偶者に不貞行為があった場合は、「慰謝料を支払うべきかどうか」も重要になります。
これらの争点について、法的根拠と証拠に基づいて裁判官が判断を下します。
裁判離婚はどのくらいかかる?
裁判離婚には、通常1年から2年程度の期間がかかるといわれています。
これは、訴訟提起から判決に至るまで、複数回の期日が設けられ、争点ごとに詳細な審理が必要とされるためです。
さらに、親権や慰謝料請求などが大きな争点となる場合、さらに長期化する傾向があります。
また、弁護士費用などの経済的負担も無視できません。
時間的・金銭的・精神的な負担をよく理解したうえで、裁判に臨む必要があります。
裁判離婚の流れ
裁判離婚は、調停が不成立となった場合に、原告が夫婦どちらかの住所地を管轄する家庭裁判所に離婚訴訟を提起することにより始まります。
訴状には、離婚事由や慰謝料、親権などの請求の内容やそれが法的に認められる根拠を明記する必要があります。
訴状提出後、裁判所が第1回口頭弁論期日を指定します。
続いて、被告が、原告の請求を認めるか否か等を記した答弁書を提出します。
その後、裁判官による訴訟指揮のもと、夫婦双方が主張及び証拠を出し合います。
裁判では、裁判官と当事者が争点整理や今後の進行について話し合う弁論準備手続が行われることもあります。
その後、必要に応じて、当事者が裁判所に出廷して行われる尋問手続きを経た上で、判決が下されます。離婚が認められた場合には、被告は、判決書等の送達を受けてから14日以内に不服申立て(控訴)が可能であるところ、同期間内に被告が控訴しない場合、判決が確定し、戸籍上離婚の事実を反映させることができるようになります。
まとめ
裁判離婚は、協議や調停により解決できなかった場合の手段として用いられる制度です。
離婚事由の証明や証拠の提出、さまざまな争点の審理など、多くの準備と対応が求められます。
離婚問題でお悩みの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
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- 所属団体
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- ・東京弁護士会
- ・東京商工会議所
- 経歴
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- ・早稲田大学法科大学院修了
- ・2013年 弁護士登録(登録番号 47966)
- ・2019年 池袋副都心法律事務所開設

- メディア掲載
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- 「ビジネスロー・ジャーナル」 2015年9月
- 「会社法務」 2019年12月
- 「毎日新聞」 2020年10月
- 「労働問題弁護士ナビ」 2020年11月
- 「先生の選び方」 2021年12月
- 「COMPANY TANK」 2022年1月
- 「LIMO(くらしとお金の経済メディア)」 2022年3月
- 「東京リビング」 2023年7月
- 「中学生のためのお仕事ブック」 2024年4月
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- 治療院に向けた交通事故セミナー 2017年11月
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